「安物買いの銭失い」歯科バージョンで失うのは銭だけではなく自分の内臓 | 神田中央通りいけむら歯科

こんにちは。
削らない歯科医、神田中央通りいけむら歯科の院長池村和歌子です。

本日は、当院にいらした患者さんのお話をします。
（患者さんからはブログで話題にしても良いと許可頂いております！）

一から流れを説明すると・・・

1.むし歯を見つけた
2.削らない治療を検索。ドックベストセメントの存在を知る
3.ドックベストセメントを行っている当院もチェックしたが、金額が安い別の歯科医院へ行ってみた
4.しばしば不具合。痛みも出てきた
5.不安なので転院を決意。当院にいらっしゃった
6.池村が拝見しました。
→歯肉の中までむし歯なので、クラウンレングスオペというオペが必要。じゃないとドックベストセメントは意味なし。

むし歯を見つけた時期からそれなりに時間が経過しているので、本日池村が拝見すると歯の神経が残るかどうか微妙な感じになっていました。
間に合うかなー。今から処置して神経残ると良いなー。
って、そんな感じです。

最初から当院へいらしてくれたらもっと勝算高かったと思うんですけどね。

まあ、詳細がわからなければ同じ「ドックベストセメント」なら安い方へ行っちゃうのもわかりますよ。
しかしですね。
その患者さんが欲しかったのはドックベストセメントだったでしょうか？
それとも「むし歯を極力削らずに自分の歯を残すこと」だったでしょうか？

ドックベストセメント自体はアメリカの薬で、歯科医師免許証があれば誰でも輸入し使えます。
大切なのは誰でも買える薬ではなく
その薬をどう使うか。

「診断力」

なのです。

今回はドックベストセメントを塗るだけでは無理な症例でした。

実は、ドックベストセメントは『眉唾物だ！』と断罪する歯科医師の先生も多くいます(特に根管治療がお得意の先生)。

おそらく、ドックベストセメント単独使用では無理で、クラウンレングスニング併用が必須の症例とも診断できずにただただドックベストセメントを使用して、
結果むし歯が再石灰化せずに神経が死んでしまい、症状が出て根管治療の専門の先生のところに駆け込む患者さんを診る機会が多いので眉唾物呼ばわりされてしまうのでしょう。

当院ではクラウンレングスオペはかなり多いです。
ドックベストセメントも、根管治療も、基本がきちんとわかっていないと成功するのは難しい治療です。

そして、さらに大切なのは・・・
口は内臓だということです。
普通に考えて、内臓に穴があくって、かなり大変なことなんですよ。
そう。内臓に穴があくむし歯というのはかなり厄介な病気なのです。
なぜその内臓である歯に穴があき、治療が必要になってしまったのか考えること。

むし歯の原因は多くは複合的です。
いくつかある原因の中から、より大きな要素を生活の中から排除していく。それができたら次に大きな要素を排除・・・
このように行動すると、突発的に取れた腫れたで痛い思いをする歯科治療ばかりの人生から、痛くなく気持ち良いメンテナンスのためだけに歯科医院に計画的に通うだけになります。

なので、当院ではむし歯があるからと言っていきなり削って型取りして次回セット、などの普通の歯医者さんの治療の流れはしません。
だっていきなり削って埋めてもむし歯の原因は口の中にそのままありますからね。
なぜ歯という内臓に穴が開いてしまったのかを検査して考察して、原因を生活の中から除去して。
そしたら大きな穴は埋めましょう。

ちなみに他院様で「このむし歯次回削って治療するから」と言われて「本当に削らないとダメなの？」と当院に駆け込んでくる方多いんですが
だいたい7割の歯は当院では削らないです。
具体的にはC1やC2と言われるむし歯のレベルですね。